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日曜日、朝練の後にサクラと光くんの家を訪れた。
「………なんで、音無も来るのよ?」
何故かウザい音無も同行。
「彼女とデートは?」
「あいつ、今日友達と約束あるからさ。
男ひとりに女2人じゃ、お前あぶれるだろ?
可哀想だから来てやったんだぞ。有り難く思え。」
………うそつけ__…
さっき、
「いらっしゃい」
と出迎えてくれた美咲さんに鼻の下伸ばしてたくせに。
「DVD観てるときは騒がないでよね?」
「俺がいつ騒いだよ?」
美咲さんが焼いてくれたケーキを、
光くんが切りながら笑う。
「チーズケーキみんな大丈夫?」
「好き好き!」
「美咲さんは?観ないの?久しぶりに引っ張りだした映像でしょう?」
初恋の人の走る姿…
「母さんは観ないよ」
「………」
そっか
別れ方が、壮絶すぎるもんね。
好きな人が突然死んでしまったら
どう乗り越えていけるだろう?
失恋とは比べものにならない。
わたしは、DVDのケースを拭く光くんと、それを手伝うサクラを見て、
生きていてくれるだけで幸せなんだと思った。
―♪♪♪♪♪♪
DVDを再生しようとした途端、
光くんの携帯電話が鳴った。
「知らない番号だ」
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