危機Ⅱ

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「彼氏…?」 エンジンを切った車から剛が先に降りて、 まず私を外に出した。 「光くん、ここにいるの?」 確かにここなら、人目につかないかもしれない。 私は真っ先に廃屋に向かって走り出した。 「バァカ!」 ____走り出したけど… 「あんな爺ちゃんのお化けが出そうな家に、誰が死体隠すかよ!」 直ぐに剛に腕をとられる。 「……死体…?」 今、 死体って言った? 「光くんを、殺したの……?」 私の腕を掴んだ剛は、半分開かない片目も、大きく見開き、 「半殺しで埋めたけど、 もう、死んでんじゃねえ?」 とても 嬉しそうに笑い出した。 車の中から、サクラの泣く声が聞こえた。 「光くん!!!」 私は掴まれた腕を振り解いて、夜の畑へ駆け出した。 「光くん!!返事して!」 荒れ果て、自分の身長くらいある雑草が生い茂り、 どこに、そんな場所があるのか、 なかなか目をつけられない。 「光くん!!」 ただ、 名前を呼ぶしかできない。 「光くん…」 絶望的な状況でも、 諦めない事を願ったような、 素敵な名前…… 「返事をしてっ!!」 私とサクラの、 好きな人の名前 ………………。…………
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