危機Ⅱ

18/19
54人が本棚に入れています
本棚に追加
/19ページ
「こうやって並んで見ると、ますます似てねーな!」 運転席から 二度と見たくなかったモヒカンの男が 後ろを振り返り、ニヤニヤしている。 「………どこに行くの?」 サクラが、窓の外の流れていく景色を見て、不安がっている。 私も、もう山中はコリゴリだ。 「サクラが行ったことある場所だよ」 ニヤつくモヒカンに反して、 剛のテンションはまだ、低い。 「舞ちゃんよく生きてたな。てっきり遺体で上がって、事件になるかとヒヤヒヤしてたのに」 「………」 あの時の、 川に飛ぶ込む前の、 剛の狂気めいた行動を思い出す。 私をサクラと一緒に呼び寄せたのは何故なのか。 「……ここ……」 車は山中の小さな農家の敷地内に止まった。 ………荒れ果てた畑と家屋。 誰も住んでいないようだ。 「思い出したか? 俺とサクラが初めて結ばれた場所だよ」 少しずつ、 剛の声が高ぶってきているのが分かる。 「今日は、 お前の大事な妹と彼氏の前で復縁記念だ」 ………剛は、 残虐な行為に入るときに テンションが異常にあがるようだ。
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!