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「こうやって並んで見ると、ますます似てねーな!」
運転席から
二度と見たくなかったモヒカンの男が
後ろを振り返り、ニヤニヤしている。
「………どこに行くの?」
サクラが、窓の外の流れていく景色を見て、不安がっている。
私も、もう山中はコリゴリだ。
「サクラが行ったことある場所だよ」
ニヤつくモヒカンに反して、
剛のテンションはまだ、低い。
「舞ちゃんよく生きてたな。てっきり遺体で上がって、事件になるかとヒヤヒヤしてたのに」
「………」
あの時の、
川に飛ぶ込む前の、
剛の狂気めいた行動を思い出す。
私をサクラと一緒に呼び寄せたのは何故なのか。
「……ここ……」
車は山中の小さな農家の敷地内に止まった。
………荒れ果てた畑と家屋。
誰も住んでいないようだ。
「思い出したか?
俺とサクラが初めて結ばれた場所だよ」
少しずつ、
剛の声が高ぶってきているのが分かる。
「今日は、
お前の大事な妹と彼氏の前で復縁記念だ」
………剛は、
残虐な行為に入るときに
テンションが異常にあがるようだ。
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