永遠に

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「好きなようにって……さすがにお前らの前でできるかよっ?!」 モヒカン男は、 剛が握る荷造り紐に両手を縛られた私に、 それでも 楽しそうに近づく。 「車に連れて行ったらダメなのかよ?」 「ダメだ、お前すぐ逃げられるし、 今、サクラの前でやらなきゃ意味がない。」 サクラは、剛に抱きしめられながら ひたすら首を横に振っていた。 「……だってさ!、 舞ちゃん、ごめんね、こいつ悪趣味で!」 謝りながら 私を汚い地面に押し付ける男。 「もうあんたの顔なんか見飽きたんだって、近づくな!馬鹿!」 今度こそ……… ダメなのかな? こんな馬みたいな男にやられて 剛にぼこられて、 埋められちゃうんだ…… 「……………」 ………光くん、 巻き込んじゃったな。 私に出会わなければ、 私たち双子に関わらなければ 輝かしい未来が待っていたのかな? 「なぁ、紐、外さねー?」 再び 私に馬乗りしたモヒカンが、縛られた両手を、私が必死に胸で組むから 邪魔くさそうに排除しようとする。 「ばぁか、お前コイツの足の速さ知ってんだろ?外したら、またどこ行くかわかんねぇぞ」 剛は 何か叫びそうなサク ラの口を左 手で覆いながら、 必死に私に結ばれた紐も握っている。 「チクショ、手!邪魔!」 モヒカンの荒く臭う息から逃げるように 必死に限定された動きを繰り返す両手。 "剛が紐を外しさえしたら……" 私はまた逃げ切る自信があった。 「……剛……」 剛の手を必死に矧いだサクラの声が聞こえる。 「剛、 私にもキスして」 剛を抱きしめるサクラの姿が モヒカンの後ろから見えた。
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