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「僕ね。さぁ、明日は引っ越しだってんで、その夜は早めに床に入ったんです。したら、例の金縛り。体が動かなくなっちゃって。でも、それは別にいいんです。ほぼ毎日のことだしね。問題はねー、その後が……。幽霊の野郎、あ、いや、女だったから野郎じゃないけど、俺のパジャマのズボンをさ、ずるずると降ろし始めやがったわけですよ」
「は? どうして?」
「ええ。えー、俺も驚いたんですけど。頭の中にね、声が直接響いてきて。『いかないで。いくならやらせて』って」
「はっ?」
「でね。俺のアレを、その、なんか舐め出したみたいで。『ね。ここにいてくれたら、毎晩気持ち良くしてあげるから』とか言い出して」
「…………」
僕はもう「ぽかーん」である。相槌するのも忘れていた。
「つーかですね、俺はそん時、ちゃあんと彼女がいたわけで。あ、それがちょっと前に離婚した俺の嫁になるわけですけど。だからきっぱりと言ってやりましたよ。『いらねぇ。出てく』って。そしたら、金縛りが解けました」
後に偶然知り合った霊媒師にこの話をして見てもらったところ、原因はこのオッサンの持つ一枚の写真にあったと分かった。それは昔訪れたある観光地での記念写真。オッサンの後ろに、白いモヤのようなものが映り込んでいたそうだ。
それが、このエロ幽霊だった。その観光地から、このオッサンについてきてしまったのだ。霊媒師が言うには、「きっと惚れられたんでしょう」とのこと。
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