最終章 薄明

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「お湯たまったから 先に入るね」 15分程で浴室から秋山を呼ぶ声が聞こえてきた。 「先生ー いいよー」 秋山が浴室に入ると彩夏は背を向けて座っていた。 「じゃあ 洗わせてもらうよ シャンプーとって」 優しくシャワーでお湯をかけ髪を濡らしていった。 丁寧に丁寧に髪の先まで濡らし、 シャンプーをつけて泡立てた。 秋山の指は頭皮をほぐすようにマッサージするように洗っていった。 「痒いところない?」 「ん… とっても気持ちいいよ…」 秋山の指は強すぎず弱すぎず、 とても心地よかった。 自分を愛してくれる時と同じ、 優しい指だった。 「お湯かけるよ」 最後まで丁寧な洗い方だった。
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