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「それでね、その時に……」
学校に向かう道は多くの生徒で溢れ返っていた。
毎朝の見慣れた光景に違和感など覚える筈もなく、俺は他の生徒達と同じくして学校に足を向けている。
「泰聖?話聞いてる?」
「ああ、ごめん。聞いてるよ」
隣に歩くのは去年から付き合っている椎葉御影。
学校へ向かう途中にある御影の家に迎えに行って一緒に通うのが付き合いだしてからの日課になっていた。
「ほんとに?もう、泰聖なんか冷たい」
「そんな事ないって」
俺の事を軽く睨むようにする御影。
そんな仕草すら可愛く思えるのは俺が御影を好きだからってだけじゃないと思う。
俺はそんな御影を見て思わず頬が緩んでしまう。
「なんで笑うのよ。本気で怒るよ?」
「ごめん、ごめん」
こんなやりとりをしながらでも足を進め、校門を通り抜けた。
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