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「やっぱり泰聖冷たいよ。何かあったの?」
「そんな事ないって」
まさか見惚れていたなんて言える筈もなく誤魔化しながら校舎に入る。
そんなやりとりは下駄箱で偶然一緒になった親友の登場で終わりを迎える。
「お、相変わらず熱いねえ」
「千秋、茶化すな」
「ホントの事だろ?毎朝毎朝良くやる事で」
「もう千秋君まで。もう知らない!」
軽く笑いながら俺達を見る千秋に、御影はそう言って先に教室の方に走っていってしまう。
後で謝らないといけないな。
俺は靴から上履きに履き替えると御影を追い掛けるようにして足を進める。
「んだよ、泰聖。御影ちゃんに先に行かれて淋しいのか?」
「アホか。あんまり御影を怒らせるような事言うなよな」
毎度ながらに注意しつつ俺は教室に足を向ける。
「だってよ。御影ちゃんの怒った顔可愛いじゃん?だからついさ。それに今日怒ったのは俺だけのせいじゃないだろ?」
確かにそうだけど。そう言い掛けて言葉を飲み込んだ。
このままでは全部俺のせいにされかねないからである。
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