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俺はなんとか顔を上げた。
秋月さんだった物は既にそこにはない。
「死神」の力で消してしまったのだろうか。
そうなってしまうと見ていられなくて目を背けた自分がなんだか悪い気もしてくる。
決して仲が良かったわけではない。
でも秋月さんの最後を看取る事は出来無かったのだ。
「ゲームを続ける。が、いきなりのアクシデントだ。再び我が指名しても良いが、二の舞では困る。誰か志願者はいるかね?」
「ちょっと待ってよ!!」
「死神」が進めようとしたのを遮ったのは、田村さんだった。
彼女は秋月さんと仲が良かった筈だ。
田村さんは席を立ち、「死神」が映されたスクリーンに歩み寄る。
「何かね?」
「美雪は!?美雪はどこにやったの!?」
田村さんがここまで感情を表に出すのを始めて見た。
俺の中での田村さんは秋月さんと一緒で大人しい子だ。
そんな彼女が仲の良い秋月さんの死に対して一番過剰に反応している。
当然と言えば当然だ。
仲の良い友達が目の前で殺され、消された。
そんなのすんなり受け入れられるわけがない。
「私止める!!こんなゲーム止める!!もう止めさせて!!!」
田村さんはスクリーンに向かって叫びながら崩れて膝を付いた。
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