🌱🌱🌱第一章🌱🌱🌱

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「このままずっと恋人を作らないつもり? 俺はなんて一途なんだって自惚れて、赤穂君の結婚式でスピーチでもするつもり?」 「話が先に行き過ぎだ。第一そんなキャラじゃない。辛くなったらあいつから離れて独身生活を満喫するさ。お前に心配して貰わなくても結構だ」 「どうしても、駄目なの?」 「駄目だ」 すると彼女は、あの意味深な笑みをたたえると、くるりと背を向けた。 「だったら仕方がないわね。学校中に貴方が赤穂君のことを好きだってこと、広めなくちゃ」 「……は?」 「貴方はこの高校に居られなくなるわ」 「ちょっと待てよ。お前脅さないって言ったよな?」 「気が変わったのよ。貴方が言うことを聞かないから」 「……最悪だな」 「私と夏休み、逢ってくれるだけでいいの。勿論、赤穂君にも紹介してね」 「お前、本当に俺が好きなのか」 「好きよ。多分」 「だからその多分って何なんだ」 「空が青いわ。綺麗」 窓辺に駆け寄って、綾ヶ崎は呟いた。 汗が、気持ち悪い。 蝉の声は相変わらず、うるさい。 そうして俺は、綾ヶ崎茜とうわべだけの交際を開始することになった。
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