🌱🌱🌱第一章🌱🌱🌱

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暑かった。 その日は暑くて、本当に暑くて、気が狂いそうだった。 だらだらと流れる汗が気持ち悪い。拭っても拭っても汗は溢れる。背中からも、額からも。 煙草の吸殻を捨てるところを教師に目撃された俺、設楽斎は、職員室で説教を食らって、やっと教室に戻って来たところだった。 謹慎とか言われたが、生憎明日から夏休みだ。 一週間自宅に居ろだって?お前ら教師の言うことなんか聞くもんか。高校一年の夏休みを思う存分満喫してやる。 煙草は隠れて吸っていたし、別に教師に迷惑を掛けた訳ではない。 ああ、苛々する。 ガランとした教室では、一人の女子生徒が机に向かって読書をしていた。 普段あれだけ騒がしい筈の場所。今はしんと静まり返っている。なんだか不思議だ。
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