🌱🌱🌱第一章🌱🌱🌱

3/28
前へ
/31ページ
次へ
幼馴染みで親友の赤穂司ことツカは、既に帰ったらしい。 あいつはダチを待ってるような健気な奴じゃない。これっぽっちも期待などはしていない。 教室の隅で黙々と読書をする彼女は……ええと、なんて名前だっけ。 ただでさえ色が白い、透き通ってしまいそうなほどに白い彼女の存在は、非常に希薄だ。 肌の色と相反して、真っ黒く長い髪が、彼女の顔に影を作っている。 まあ俺は、こいつの顔になんか興味ないし、ましてやこいつの存在自体に興味がある訳もない。 名前など思い出さなくたって支障は出ない。 俺は自分の席へと向かい、鞄を持ってさっさと教室を出ようとした。 ええと、まずは、帰ってからゲームして、昼飯食って、昼寝して、それから…… ――ミーンミーン ああ、蝉の声がうるさい。 「……ねぇ、貴方って本当に健気よね」
/31ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加