🌱🌱🌱第一章🌱🌱🌱

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「……な、に、言ってんだよ」 我ながら情けない声が出た。泣き出してしまいそうだった。自分でも分かるほど声は震えていた。 綾ヶ崎は、笑みを消して、今度は酷く心配そうな、不憫そうな表情をした。 「……ああ、ごめんなさい。脅すつもりは全然ないの。ただ、知りたくて」 ぱたりと本を閉じて、彼女は淡々と言う。ただ知りたくて? ただ知りたくてそんなことを訊いたのか?人の気持ちも考えずに? それよりも 「何で、知ってるんだよ」 俺の疑問はそれだけだ。 「何でって、貴方を見てたから」 表情を消して、ロボットみたいに綾ヶ崎は言葉を繋いだ。 「見てたって何で」 「好きだからよ」 「好き?」 「そう。私、貴方のことが好きなの。多分」 ……多分? 何言ってるんだこの女。意味が分からん。 「……それは告白か?」 「一応ね。でも返事なんて要らない。私、眺めるのが好きなのよ、人間をね」 「お前はつまり、俺のことが好きで俺を眺めていて、俺があいつのことを好きだって気付いた訳か?」 「簡潔に言えばね」 汗が、首筋を伝う。 気持ち悪い。俺はその雫を素早く拭った。
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