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「いつ、何をきっかけに気付いたんだ?」
とりあえずそう尋ねた。
「……そうね。貴方が授業中見つめている先に、いつも赤穂君が居たから」
しれっとした顔で、彼女は答える。
「それに、赤穂君が貴方の身体に触れる時、決まって貴方の身体は強張っている。違う?」
「よくそこまで分析したな」
「言ったでしょう。私、人間を眺めるのが好きなの。人間観察が趣味なのよ」
今気付いた。この女、汗をひとつもかいていない。肌もさらさらしていそうで、まるで本物のロボットみたいだ。
開け放たれた窓から、冷たい風が吹いた。
ちょっと涼しい。
「提案なんだけど」
不意に、綾ヶ崎は言った。
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