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それも、全く磨かれていないにも拘わらず、どんな宝石よりも輝いている原石が。
門を開き、孤児院の庭に入る。
来訪者に、子供たちの様子が変わった。
何人かは、建物の中に入っていった。
大人たちに、連絡しに行ったのだろう。
彼は気にせず、木の根元にいる少年たちの所へ向かった。
少年たちが、顔を上げる。
本を読んでいた少年の表情は、知らない大人の前でも落ち着いていた。
穏やかな眼差しからは、知性と冷静さが感じられる。
寝転んでいた少年は、ふてぶてしい眼をしている。
ただ身を起こすという単純な動作からも、底知れないものを感じさせた。
魔法使いとしての素養だけではなく、武器を扱う素質もあるだろう。
「……私は、ユレカ」
それが、彼の名前。
宿命のように探し続けてきた者の名前。
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