第一夜

2/6
前へ
/58ページ
次へ
「来て」 静まりかえった夜。大聖堂の中で神の前に跪く少女がポツリと言葉を発した。 「いーけないんだ」 音もなく後ろに現れたそれは、楽しげに喉の奥でクツクツと笑う。少女は困った顔をして信仰する神の彫像を見上げた。 「教会が言うように全てが平等だというのならば、私があなたに会うのも罪ではないはずだわ」 「“全て”は、人間の全てって意味じゃなかったっけ」 「けど、聖書には“全て”としか書かれていないわ。解釈は自由よ」
/58ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加