第一夜

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「ふーん、まぁ僕はどうでもいいけど」 この密会がばれたら、連中はどんな顔をするだろうね。耳元で囁かれた言葉に少女の表情が凍りつく。 「だめよ、だめっ」 声を荒げて立ち上がった少女は後ろに佇むソレを見た。闇に違和感なく溶けこむ、教会には不釣り合いのもの。髪も瞳も服装も、背にある大きな翼も。黒に埋め尽くされた悪魔。 「そんなことしたら、滅すわよ」 神に祈りを捧げていた時の儚い雰囲気はもう無い。そこにいるのは怒りで肩を震わせた鬼の形相の少女。 彼女の手には聖水とロザリオが握られていた。
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