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「貴方だけなの」
「そう」
悪魔はマリアの頭にキスを落として、消えた。現れた時と同じように音もなく。
確かにあった温もりを求めてマリアの手は空を掴んだ。
きぃ、と音がして大きな扉が開かれる。シスターが蝋燭を手に立っていた。
「聖女様、部屋にお戻りください」
「えぇ」
マリアが大聖堂を出るとすぐに3人の騎士が待機していた。マリアを守るためだけに存在する彼らはずっと近くに控えているのだ。まるで監視しているかのように。
マリアが一人になれるのは夜の聖堂だけ。それも毎日ではない。満月の夜にだけ許される。
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