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つまり、その日が唯一マリアがレノアールと会える日。その短い時だけを励みにマリアは生きていた。
「お休みなさい」
シスターは頭を下げるだけで言葉をかわすことはなかった。
ベッドの中でマリアは空を見上げた。夜空を埋める黒に、悪魔を思い浮かべる。マリアはレノアールと同じ黒に安らぎを感じていた。
「このまま、夜が明けなければいい」
ベッドで何かに怯えるように小さくなった少女の声は誰にも届かずに闇に溶けた。
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