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「………やっぱり、ここはゲームの世界」
ところ変わってここは、中心に巨大な大樹がある城下街。といっても、そこまで賑やかではなく、むしろ今はどんよりとした空気で満ちていた。
そして、その街に一人の少女が顎に手を当てながらなにやらブツブツと考えて事をしている。
その少女は、背はそれほど高くもなく、白のショートヘアに黄色い目をしている。装備は、腰の部分に鞘に収まっている小太刀を装備して、中に紺色の肩が出ている薄い服を着ていて、そこから黒のマントを装備している。
「………ステータス画面も表示されるし、他の人のステータス画面も……」
少女のステータス画面には『冒険者 Lv5 暗殺者 時雨 HP750/750 MP730/730』と表示されている。どうやら、彼女の名前は時雨(シグレ)というらしい。
ちなみに、ここがエルダーテイルの世界だと仮定するなら、初心者のプレーヤーは初期レベルは1に設定されている。しかし、時雨のレベルは5。どうやら時雨はこの街の周辺のモンスターを倒してレベルを上げたらしい。
そして、時雨はモンスターをあらかた倒し、この街に帰ってきたところだった。
「………やっぱり、変わってないか」
時雨は、この街の状況を見てため息をついた。
『うぅ……どうしてこんなことに……』
『くそぉぉ!マジでどうなってんだこれ!?』
『これは夢……これは夢……』
その先には、落胆して膝をつく者や、壁に寄りかかって生気を失った目をしている者がいた。
そして、その人たちは全員ステータス画面に『冒険者』と表示されていた。
「………いつまでもそうしていたって何も変わらないのに……」
この状況は、時雨がここに来たときからこうなっていたらしい。時雨は、最初ここに来たときは、今落胆している人たち同様どうしてこんなことになったのかと涙を浮かべていた。
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