1-2「異世界、セルデシア」

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 「………どうしてこんなことになっちゃったんだろう……」  その時、時雨は、自分が泣いている時に母が教えてくれた言葉を思い出した。  『いい?時音。泣くときはうんと泣きなさい。でも、泣くだけ泣いたら今度はくじけずにもう一度立ち上がってみなさい。そうしたら、さっき出来なかったこともきっとできるから』  「………お母さん……」  時雨は、母の言葉を思い出し、涙を拭いて、立ち上がった。  そして、前を向き、目の前に広がる青空を見て、さっきまでの恐怖はどこにもなかった。  「………うん、お母さんの言うとおり。全然恐くなくなった」  涙を拭いたあと、時雨は笑顔で広大な大地を走っていった。
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