月夜に舞う冒険者

プロローグ

　２０年以上続くオンラインゲーム『エルダーテイル』

　剣と魔法が中心の世界『セルデシア』を舞台に様々なクエストを『大地人』と呼ばれるＮＰＣから受け、冒険を楽しんでいくゲームだ。

　プレイヤーは『冒険者』と呼ばれ、たとえ戦闘で死んでも『大神殿』と呼ばれる場所で復活する。その理由で冒険者は大地人から『英雄』と評されている。

　冒険者は同じ目的を持つ者同士と組み、『ギルド』と呼ばれるものを作って活動していた。

　そんな中、エルダーテイルの１５番目の拡張パック、『ノウアスフィアの開墾』が導入されると同時に冒険者たちはエルダーテイルの世界に閉じ込められた。

　閉じ込められた冒険者たちはパニックになり、絶望するものもいれば、新たな世界に嬉々するものもいた。人々はこれを『大災害』と呼んだ。

　大災害から二年。ある冒険者の手によってセルデシアから抜け出す方法が確認された。

　その方法で次々と冒険者たちは現実の世界に帰還していった。こうして、二年をかけて異世界から抜け出したのであった。