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どこからか聞こえてくる、甲高い笑い声――それも、ひとつや二つではない――が徐々に近づいてきたかと思うと、ちょうど女子高校生が5人、坂を下りてくるのが見えた。
なにが、そんなに楽しいのかと不思議に思ってしまうくらい笑いこけて、彼女たちは一直線に店の前にやってくる。
そして距離をあけるように数歩進んだカップルなど見向きもせずに、ほとんど寄り添うようにして横に並んだ。
その時になって、やっと、青年の姿が消えていることに、私は気が付いた。
が、そのことに関しては別段、不思議にも思わなかった。
大学生くらいの青年が、カップルと女子高校生の集団に挟まれて順番待ちをする、気恥ずかしさくらいは想像できたから。
それに、ようやく紫苑に顔を向けた時には、もう向かいに座っていたはずの女の子は立ち上がっていて、カップルが嬉しそうに中を覗き込んでいるところだったから、すぐに青年のことには構っていられなくなった。
今日は、店じまいの時刻までに、どのくらいの人がやって来るのだろう。
そう思うとうんざりしないでもなかったが、私は立ち上がろうともせずに、椅子に腰かけたまま、目だけをクルクルと回していた。
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