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「え……」
女の子は、気まずそうに俯いたまま続ける。
「あの、私……ずっと好きだった人に振られちゃって………全く、嫌になっちゃいますよね……クリスマス前なのに」
口調は明るいけど、俺からすれば空元気に思える。
「会社の先輩として憧れてたし、人として尊敬もしてた……勿論、男性としても好きでした。でも彼は、私の事、一人の後輩としか見れないって………」
「…………」
「………凄く、凄く……好きな人、でした」
徐々に涙声になって、仕舞いには言葉を詰まらせた彼女に、自分と同じ匂いを感じた。
「………早く忘れたくて……でも、どうすればいいか分かんなくって……」
「…………うん」
「自棄になって……初対面の田嶋さんと………関係を持とうとしました…」
泣き顔から無理矢理笑顔に変えたようなクシャ顔を向けて、彼女は「……馬鹿みたいですよね?」と、俺に同意を求めてきた。
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