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何だか擽ったい雰囲気に、こういうのも悪くないかな……なんて思っていると…
ーーぐ~…きゅるきゅるきゅる……
間抜けな音が盛大に鳴り響いた。
同時に顔を見合わせる。
「今の、俺じゃないから」
「や、私でもないですよ」
「嘘だ、ひなたの方から聞こえてきたけど?」
「絶対違います!央さんですよ!」
お互いに罪の擦り付け合い。
それから、同時に「ぷっ…」と、噴き出した。
「あはは……お腹、空きましたよね?簡単なので良ければ、朝食の用意しますよ」
言うが早いか、ベッドから軽やかに降りるひなた。
ベッド脇のイスに置いてある部屋着を着込むと、床に散らばった衣服をかき集め始めた。
「はい、こっちが央さんの服です」
「ん、ありがと。俺にも何か手伝わせて」
昨日と同じ服を着て、キッチンに立つひなたの隣に並ぶ。
「じゃ、卵を溶いて貰えます?」
「了解」
朝と呼ぶには、少し遅い時間の朝食作り。
キッチンに拡がる香ばしい香りを嗅ぎながら、やっぱり悪くないな………と、頬が緩んだ。
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