12664人が本棚に入れています
本棚に追加
旭がぶつかったのは、鍔のある帽子を深く被った女性だった。
その細い腕には、小さな女の子を抱いている。
「ウチの息子がすみませんでした。お怪我はないですか?」
鼻を押さえる旭にも「ほら、ごめんなさいは?」と、謝るよう促した。
「………ごめんなさいぃ…」
後ろからやっと追い付いたひなたが「……大丈夫?」と、心配そうに聞いてくる。
「あ、私なら大丈夫です。軽くぶつかっただけなので」
女性の声を聞いて、ん?……と思った。
「ボク、大丈夫だったかな?お鼻痛くない?ごめんね、おばちゃん避けられなくて」
子供を抱いたまま、その場にしゃがみ、旭と目線を合わせながら言う女性の声。
それに、デジャヴらしきものを感じた。
最初のコメントを投稿しよう!