《15》

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旭の頭を優しく撫でた女性は「よいしょ」と、ゆっくり立ち上がる。 彼女が面を上げたと同時に、鍔の下に隠された素顔が見えた。 その時、俺の中で薄れかけていた記憶が蘇る。 「……まさか…」 「はい?」 不思議そうに首を傾げた女性は、俺の顔を繁々確認すると、「あ!」と驚きの声を挙げた。 「田嶋さん……ですよね?」 「やっぱり、直井さんだ……」 まさかの再会に、固まる体、強張る顔の筋肉。 それは相手の方も同じらしく…… 「うわ………まさか、こんな所で……驚きです」 まるで幽霊にでも遭遇してしまったかのような反応をみせる。
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