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不意に、何処からともなく子供の喚き声とそれに応える怒声が聞こえてきた。
「かってかってかってー!!」
「だーかーら!買わねーって言ってんだろ!似たようなおもちゃ、いっぱい持ってんじゃねーか」
「やーだーほしいー!おれがかえっていったらかえー!!」
「………んだと、コラァ!親に向かって何だその口の利き方は!買わねーっつったら、買わねーの!」
どうやら子供が駄々を捏ね、父親が手を焼いているらしい。
途端に、目の前に居る彼女の表情が曇る。
「ったく、誰に似たんだ、奏の口の悪さは………」
「ま、どうみても、あきとさんですよね…」
「………本当にお前はママそっくりだな、禅」
コントみたいなやり取りを繰り広げながらこちらに向かって来た親子三人。
父親らしき男性が直井さんに向かって言う。
「華、こいつらどうにかしてくれ……俺の手には追えん……」
嘆く彼に、彼女は渋い顔。
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