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「思い出した!」
直井さんの御主人は嬉しそうに笑う。
そして、得意気な表情で、尚且つ俺に向かってビシッと人差し指を向けながら
「スーパーひさし君じゃねーの!」
謎の言葉を口にした。
当然、こっちは「……え?」となる訳で。
「いやー懐かしい。久々ご登場だな、スーパーひさし君」
「は、はぁ……」
「何だ?スーパーひさし君も、おもちゃ買いに来たのか?」
「え、えぇ………まぁ…息子にせがまれまして…」
「息子?!おお、スーパーなひさし君も所帯持ったのか?………って、あれから何年も経ってりゃ持っててもおかしくないわな」
俺、この人と知り合いだったっけ?と首を傾げたくなるくらい、直井さんの御主人は、何故かやたらと馴れ馴れしい。
不快になる程ではないにしろ、俺としては、彼が頻りに口にする“スーパーひさし君”というのが気になる。
「ちょっ………晃人さん、黙ってて下さい」
「あ?」
「お願いですから」
苦虫を噛み潰したような顔をして御主人に抗議する直井さん。
「というか、後からすぐに追いかけますから先に行ってて下さい」
「………わーったよ」
御主人は、直井さんからの要請に面白くなさそうに了承すると、彼女の抱いている女の子に向かって手を伸ばした。
「おいで、凪。パパとお兄ちゃん達と先行こうな」
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