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「じゃ、今度こそ……またね」
「はい、また」
入場ゲートに向かって歩く背中を見送りながら、きっと“また”は、ないだろうな……と思う。
今後、どこかで会ったとしても、お互いに見なかった振りでやり過ごすだろう。
そんな気がする。
今回、意外な場所、意外な形での再会だったけど、スッと胸の支えが取れた。
過去の恋の相手と、また笑って話せていた自分。
恋を実らせ、幸せを手にしている彼女。
今は互いに別の相手と別の人生を歩んでいる。
俺と彼女の気持ちが交わる事はなかったけど、これで良かったんだと思う。
一度は幸せにしたいと願った相手の、穏やかで優しい笑顔。
それが何より、嬉しく感じた。
結果良ければ全て良しというか……
あの時の失恋は、今の幸せへの伏線だったんじゃないかって、俺は思えて仕方ない。
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