《15》

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「じゃ、今度こそ……またね」 「はい、また」 入場ゲートに向かって歩く背中を見送りながら、きっと“また”は、ないだろうな……と思う。 今後、どこかで会ったとしても、お互いに見なかった振りでやり過ごすだろう。 そんな気がする。 今回、意外な場所、意外な形での再会だったけど、スッと胸の支えが取れた。 過去の恋の相手と、また笑って話せていた自分。 恋を実らせ、幸せを手にしている彼女。 今は互いに別の相手と別の人生を歩んでいる。 俺と彼女の気持ちが交わる事はなかったけど、これで良かったんだと思う。 一度は幸せにしたいと願った相手の、穏やかで優しい笑顔。 それが何より、嬉しく感じた。 結果良ければ全て良しというか…… あの時の失恋は、今の幸せへの伏線だったんじゃないかって、俺は思えて仕方ない。
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