《15》

20/22
前へ
/262ページ
次へ
「い、いや、そんなつもりは…」 焦るひなたに笑いながら「でもね……」と、切り返す。 「普通っぽく見えて、結構変わってたな彼女。知れば知る程嵌まっていく、奥深い所が良かったんだよね……」 「…………」 「なんて、見事に振られちゃったけど」 過去の事だと笑う俺に、ひなたが心配そうに言う。 「………大丈夫?傷口……開いてない?痛くない?」 その問いに、彼女の不安に満ちた表情とは真逆の笑顔で答える。 「全然平気。傷なんてもう消えてるよ」 ひなたの不安が吹き飛ぶよう、彼女の頭をそっと撫でた。 「万が一また傷付くような事があっても、ひなたが治してくれるだろうし」 過去の事は、過去の事。 俺が見据えし先は、ひなたと旭との未来。 二人が居れば、この先何があっても大丈夫だと思ってる。
/262ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12665人が本棚に入れています
本棚に追加