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床には、木刀の形に頭を凹ませ、白目を向いている息子の正志がいた。
「え? ま、正志?……正志いい! うわああああああ!!」
パチン!
頭の中で音がした。それが、理性をつなぎ止めている紐が切れた音なのか、正気という名の殻が割れた音なのか、それともその両方なのかはわからない。
おれは叫ぶのをやめ、油性マジックと包丁を持ってきた。
震える手で、血と脳髄まみれになった息子の顔に「099」と書き、その後自分の顔に「100」と書く。
「お前らが見たいのは、こういうことだろう!? ギャハハハハハ……」
笑い声が途切れると同時に、包丁で掻き切った喉から血が吹き出した。
真っ赤に染まる視界の中、天井の隅で何か光った気がした。
もしかして、あれがカメラなのだろうか?
そんなことが頭をよぎったが、100人目の死体となったおれにはそれを確かめることは不可能なことだった。
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