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「だ、から…」
ベットに寝転んだまま、ぼんやりと口にした言葉。
手を伸ばし空気を掴んだ。
カーテンの隙間から朝日が差し込み、私の顔を照らす。
起き上がって時計に目をやればデジタルの掲示板は6:00と表示していた。
いつもなら二度寝する時間だけど今日はそんな気にはならない。
私はゆっくりとベットから立ち上がった。
「まぶし…」
カーテンを開けて部屋を明るく照らす太陽の光に目を細める。
―――…さっきの、なんだったんだろ
寝間着から制服に着替えながら私は今日見た夢のことを思い出した。
あんまり覚えてはいないんだけど。
『殺す』という言葉を言った時の気持ちはよく覚えてる。
流れるように私の中に入り込んできた彼女の想い。
誰へ言っていたのか「貴方」と呼んだ存在の事はよくわからないけど、それだけは私の胸に強く響いた。
『殺す』と言う言葉とは裏腹に
『生きてほしい』
『ずっと傍に居ほしい』
彼女の心はそんな想いで溢れていた。
彼女と私にどんな繋がりがあるのか、あるいはただの私の妄想…夢、なのか。
そんなことはわからないけど。
いつものように見る。
霞がかったあの夢を、ただの夢だとは私には思えない。
「ねぇ、貴方は誰?」
制服に着替え終わり私は窓に手を掛けて呟く。
返ってくるはずのない問いかけに私は苦笑し、自室を後にした。
「んじゃ、行って来ます。烈火には先に行ったって伝えておいて」
朝食を食べ終え母さんにそう言付けを頼んでから私は竹刀と練習着、それに学校指定の鞄を持って家を出た。
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