-一章 想-

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「やっと、逢えた……ずっと、ずっと探してたんだよ。あの日、別れてしまってからずっと……」 ちょちょちょっと待って、 落ち着こう私。 とにかく落ち着こう。 何この状態、 何で私知らないイケメンに抱きしめられてるわけ!? しかも別れたって何? 私付き合ったことあるの嬉しいかな悲しいかな、生まれてこの方烈火だけだよ!? 一体なんなのこの状況っ!!!!! 「あ、あの……感動してるとこ悪いんですけど、私…その、悠輝…さん?って人じゃないんですけど……」 恐る恐る口を開く。 軽く彼の胸を押せば、彼は静かに体を離した。 「覚えていないの?」 彼の口から紡がれた言葉は酷く悲しく響いた。 私が分からないと首を振ると、彼はそっか…と小さく呟いて立ち上がる。 それから私に手を差し出した。 「僕の名前は沖浦奏(オキウラ カナタ)二年生だよ。よろしくね」 ニコリと微笑まれる。 きらきらとキレイな顔が、さらにきれいに見える。 人の良い、人懐っこい笑みだ。 そんな彼の姿が夢の中の顔も知らない人物の姿と重なる。 その姿に見惚れながら、私は差し出された手を取り立ち上がった。 ぶんぶんと頭を振って幻を打ち消す。 それから沖浦先輩に向き直って言葉を紡いだ。 「私は一年生の藤本悠ですよろしくおね……」 「悠!!」
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