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煉瓦造りの室内には窓は無く、壁に掛かったランプが室内を照らすのみの薄暗い室内。 ポトリ、ポトリ。 絶え間なく音が続く室内にはベッドに横たわる男と、傍にうずくまる女。 だらんとベッドから落ちた男の指先から、赤い液体が落ち、床に溜まっていく。 「私だけを見てと言ったのに…」 女は横たわる男を愛おしそうに触る。 胸から頬に、そして頭を撫でる。 冷たくなった男の唇をなぞる。 「この唇で、あの女に愛を囁いたの?」 女は、唇から下に手を動かし胸で止まる。 「この胸に、あの女は触ったのね…」 女の声が段々と低くなる。
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