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そして、また胸から頬に、そして頭を撫でる。
「何故、あなたは私だけを愛してくれなかったの」
見開いたままの目を見て話し掛ける。
徐に手で目を触ると、グイッと目に指を突き刺す。
女は力を入れ、ググッと更に手を深く入れ目をえぐり出した。
「私だけを見てと言ったのに…」
ぐちゃり。
「あなたは、もう私以外を見る必要は無いの」
手が赤く染まり、服が汚れるのも気にせず女は、愛おしそうに眼球に頬摺りをする。
「ああ…あなた…愛してるわ」
取り出した眼球に女は口付けをすると口に含んだ。
舌で眼球をゆっくりと転がす。
歯で眼球を噛み潰し、口の中に広がる味を楽しむ。
ゆっくりと砕き飲み込む。
「あぁ…これで、あなたは私の中で生きる」
そう呟くと女の手が、冷たくなった男の体をまた愛おしそうに撫でた。
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