教師としての小さな一歩

8/10
前へ
/49ページ
次へ
突然聞き慣れない鐘の音が鳴り響く。 綺麗な音… 彼女は何かを思い出したようで少し慌てているようだ。 「これから職員会議なので戻りますね。 その後に師匠の紹介がありますから、それまでに来てくだされば大丈夫です。」 どうやら皆の面前で自己紹介をしなければならないようだ。 そういうのは昔から苦手なのだか… 8:10までに職員室に入ればいいようだ。 今が7:06…まだ少し余裕がある。 「なら少し辺りを回って見ることにしよう。 ただでさえ無駄に広い学園だ。探索するにはもってこいだろう。」 聖立高は霊峰セントガーデンの麓に建てられた大陸第三位の学園で、高等部だけで所属生徒数が総勢約4000名にもなるマンモス校である。 …とはいえ全員がこの学舎で生活するわけではなく、半年もすると各地にある支校・分高に次々と移っていく。 最終的に聖立高の学舎で卒業するのは大体十分の一程度。 いわゆる『エリート』と呼ばれるもの達だけが残る。 俺からすればエリートと呼べる奴は知っている限りでほんの数人なんだがな…
/49ページ

最初のコメントを投稿しよう!

20人が本棚に入れています
本棚に追加