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…私は今、
自宅の自室に到着した。
ベッドに身を投げ出すこともせず、私はその脇に腰を落とした。
正しくは…力が抜けてしまった。
何もかもが本当に夢みたいで
信じられなかった。
室長は私をタクシーで送ってくれた。
タクシーに乗り込んだ室長は、一度離れた手を座席でもう一度握り直してくれた。
そして、私の家の近くまで来るとタクシーを止め、運転手に待つように言ってから自分も車外に出た。
タクシーから数十メートル離れた場所まで私を歩いて送り、そして…
今日、二回目のキスをくれた。
「おやすみ」
「おやすみ…なさい」
繋いだ手を…離すのが惜しかった。
室長の指が私の指先を名残惜しそうに離れていったのは…
自惚れだろうか。
室長を乗せるタクシーを見えなくなるまで見送った。
部屋に入って
一人になっても
私の鼓動は
なかなか治まらなかった。
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