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少し緊張して
室長の横を歩く。
私が急がなくても
室長の歩調はゆったりとしていて
私が…
というよりも、
室長が私の横で歩いてくれていたのかもしれない。
夜の街は
車の音や開いたドアから聞こえてくる店の音楽、人の笑い声で賑やかなはずなのに
私にはそのどれもが聴こえてこずに
すぐ耳元で聞こえる自分の鼓動を避(サ)けて
室長の声を聞くのに必死だった。
「野崎君…時間は大丈夫なのか?」
歩きながら私を斜めに見下ろす室長。
会社とは違う、少しだけ乱れた髪とリラックスした表情だった。
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