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「大丈夫ですよ…。どうして…ですか?」
「いや…、ほら、あれだ。いいところのお嬢様には門限とか…そんなものがあるのかと思ってね」
「確かに門限はありましたけど…もう…子供じゃないんですから…」
「…そうか」
「…そう…見えませんか?」
楽しい雰囲気に少し影が落ちる。
私は1メートル先のアスファルトを見つめた。
子供っぽいって…
思われたくない。
室長は笑った。
「大人になったら、なったで、親御さんは別のことで心配だろうな」
「別の…こと?」
私は顔を上げた。
「…悪い虫がつくんじゃないかって…」
…ドクン。
言葉と同時に室長の視線が私を射抜く。
悪い虫…
王子様の室長とは、全く結びつかないフレーズだった。
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