2914人が本棚に入れています
本棚に追加
『聞いてたから、花見の誘いが強制参加に変わったんだろ』
「どういう意味だ?」
『2人揃って家に引き籠もってウジウジしててどうすんだ?』
「ウジウジって……」
『今まで何年もそうやって過ごしてきて、美桜ちんに変化はあったのか?』
「……」
『ねぇーんだろ?』
「ねぇーな」
『だろ?……ってことはそれじゃダメってことなんじゃねぇのか?』
「……」
『だいたい美桜ちんが落ち込んでる時に、お前まで辛気くさくてどうすんだ?』
「……」
『なぁ、蓮。正直、俺には美桜ちんの心の傷がどのくらいの深さなのかも、今がどんな状況なのかも分からねぇ』
「……」
『確かに人間には悩む時間が必要だし、そんな時、傍で寄り添ってくれる奴がいるってだけで救われる』
「……」
『でもな、悩む時間が増えると新たな不安を引き寄せる』
「新たな不安?」
『不安な時ほどネガティブ思考になる。ネガティブ思考がまた新たな不安を引き寄せる。それの厄介なところは、実際に起きる可能性の低いことまで、既にすぐそこまで迫っているような錯覚に陥るところだ』
「永遠に不安が続くってことか」
『あぁ、傍に寄り添う人間がやらないといけないことは、その不安のループを断ち切ってやることだと俺は思う』
「そうだな」
最初のコメントを投稿しよう!