side 渉

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「なんかね、憎いはずなのにキスしたくなんの。 なんで?」 「知らない」 「……すっげ抱き締めたくなるし、すごい傷つけたくなる」 そう心の奥の気持ちを吐露すると、兄さんは整った顔を露骨に歪めた。 口には出さないけど、胡散臭いものを見るような、 虫けらでも見るような、俺を汚いものだと認識したらしい。 こんなに好きなのにさ。 「ゲーム続けないなら、ベットで寝たいんだけど」 明らかに憔悴しきった表情でそう言われる。 無理させたくなくて止めようかとも思ったけど、食べないから良くならないんだと思う。 「――気が変わった。兄さん、コンピュータ相手に3勝してみせてよ」 「は?」 「難易度は『イージーモード』でも良いから」 触りたい。 負かせたい。
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