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ガシャンッ
テーブルを蹴り飛ばすと、近くにいた兄さんは尻餅を付く。
それを俺は怒りを抑えながら見下ろす。
人を好きになった事?
「兄さんが最初で最後だよ。
なんでそんな事言うの?」
「人を好きになれないのを俺のせいにするな」
怖くて震えてるくせに。
涙を溜めてるくせに、何を言ってんの?
「俺は確かにお前を見捨てた。だからお前に手酷い事をされてもこの一週間だけは我慢する。でも」
床に落ちて散らばった皿の破片を握りしめる。
握りしめた手のひらからツーッと血が流れる。
「でもお前がレイプした事を正当化するのは許せない。俺は我慢はしているけど、もうズタズタだ」
「…………」
「お前が俺を恨んだ年月と同じぐらい、傷を癒すのに時間がかかる」
――お前の望み通りなんだから満足だろ?
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