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魘されてる兄さんの声が聞こえたが、入るのを躊躇う。
歓迎されてない兄さんの部屋は居心地が悪くて。
やっと朝、熱が下がったのかスッキリした顔立ちの兄さんのパジャマを着替えさせた。
白い肌に赤い痕が浮かび上がる、細くしなやかな身体。
だけどボタンを外す度に身体をビクビクと震えさせ、俺が手を上げると目を瞑った。
怖がり、怯えて、視線は合わさない。
「何か食べる?」
尋ねても首を振るだけ。
吉村と言うやつが買ってきたゼリーやら栄養補強剤は飲んでいる形跡はあった。
「命令。何か作るから食べて?」
兄さんは虚ろな瞳を揺らして首を振る。
「身体がダルいんだ」
そんなの嘘だろうって一目で分かった。
仮病を使えば逃げられると思っているのだろうか。
「まぁ、俺は別に良いんだけど、写真父さんに送ろたかな♪」
ツッーと流れる涙を指で掬うと、ペロと舐めとる。
「食べる?」
「――食べる」
掠れた声でそう言ってくれた。
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