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「眼鏡すれば?」
スプーンを置いて、そう言うと兄さんの表情が暗くなる。
何か言いたげに下を向くとコントローラーを置く。
「…………」
「持ってこようか?」
「……フレーム、曲がったから」
ぎゅっと両手を握りしめて、唇を噛み締める。
ああ、じゃあ最初の日に俺が壊したのか。
「もっとする?」
「…………いい」
素っ気なくそう言うと、目の前のお粥を不快そうに睨み付ける。
――俺のお粥は食べたくないらしいのが見え見えで笑ってしまう。
「何で食べないの?」
「――っ」
兄さんは泣きそうな目を細めて、痛みを耐えるかのように両手を握りしめる。
「食べないと、無理矢理口あけて食べさせるよ?」
「冷えたら……食べる」
そう言うと、ゲームのパッケージを持ち上げ、中の説明書を読み出した。
懐かしいのかやりたげな雰囲気を出しているのに。
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