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「ゲーム、しようか? 兄さん」
その発した声に、微かに反応する。
「ゲーム、勝ったら写真一枚ずつ消してあげる」
「――っ」
唇を噛み締めて悔しげに首を横に振る。
「俺、ゲームなやんてしたこと、ない。兄さんとも、ない」
「それは……、仕方ないだろ。俺だってしたこと無かった」
「――じゃあ、やろう。8年を埋めるには良い機会だよね」
にっこり笑うと、訝しげに俺を睨み付ける兄さん。
全く信用されてないけど当たり前すぎて笑える。
それでもゲームなんかしたこと無かった俺への後ろめたさからと、逆らえないと諦めているからか、
神妙な面持ちでコントローラーを握る。
何回か練習させた後に、わざと負けてみせる。
「――何これ、難しいじゃん」
そう唇を尖らせれば、少しは兄さんが油断するかなっと狙って。
だけど帰ってきた反応は予想とは違った。
「そいつの弱点は肩」
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