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「一人ひとり弱点があるからさ、注意してみれば勝て……」
「それ俺に教えていいの?」
「…………」
気づいたのかハッと唇を噛み締めた後に横を向く。
「どうせ、写真なんて消すつもりはないんだろ?
だったら普通に遊べばいい」
そう言うとコントローラを手に持ち、攻撃を仕掛けてくる。
――どうせ、か。
「はやく。しないのか?」
「する」
でも優しくなんてしてやらない。
「俺が勝ったら、キスしていい?」
「…………」
伏し目がちな瞳を揺らし、俺の方は見ない。
「好きにしたらいいよ」
それだけを言うと、画面を見上げる。
「その前に、ご飯食べてから、ね?」
そうにっこり笑って腕を胸元に引き寄せる。
胸の中に倒れこんだ兄さんは、思い詰めたように言う。
「じゃあ俺が勝ったら、ご飯食べなくていいか?」
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