side 渉

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勿論、ぎりぎりまで追い詰めてやる。 わざと2回負けてやった。 苛々焦るフリをした。 その方が、兄さんが少しだけ希望を持てる。 その希望をめちゃめちゃに壊してやれる。 絶望する兄さんをめちゃめちゃにしてやれる。 「まぁいいや。2枚削除してあげる。ほら」 そう言って削除した画面をみせた。 睨み付けながらも油断した兄さんは、可愛い。 次からが俺が兄さんを追い詰める番だ。 一番弱いキャラを選択した。 兄さんは何も知らずに説明書を読みながら、キャラを選ぶ。 ゲームが始まると、しぃんと静まりかえり、ゲームの効果音だけしか部屋には響かない。 だけど、俺たち二人は会話なんてしないから、 どちらにしてもゲームの音しかしないんだろうな。 「小さい時に、こうやって兄さんとゲームしたかったな」
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