1996人が本棚に入れています
本棚に追加
◆◆◆◆◆
しばらくすると、アユちゃんは私たちの元に戻ってきた。
ケンさんから許可が出た、ヒカルは猛ダッシュでアユちゃんが乗る車へと向かった。
ヒカルを引き留める役に任命されていた人達は、任務から解放された途端、その場にしゃがみ込んだ。
彼らの顔には、疲労の色が色濃く滲んでいた。
そんな男の子達に
「お疲れさん」
蓮さんは労いの言葉を掛ける。
地面に座り込んでいた男の子達は蓮さんの存在に気付いた瞬間――
物凄い勢いで立ち上がった。
ピンと伸びている背筋が緊張感を物語っている。
『い……いえ、そんな』
男の子達は返答に困っているようだった。
そんな男の子達を見て私が感じるのは罪悪感。
「……あの……」
恐る恐る口を開いた私に一斉に視線が集まる。
「ご迷惑をお掛けしました」
私は男達に向って深々と頭を下げた。
『美桜さん!?』
『や……止めてください!!』
『俺達は別に……』
『迷惑だなんて思ってないですから』
こんなに疲れているのに……。
楽しかったイベントを台無しにしたのは私なのに……。
それなのにこの人達はこんなにやさしい言葉を掛けてくれる。
その事実に、私は目頭が熱くなった。
最初のコメントを投稿しよう!