第1章

40/40
前へ
/40ページ
次へ
◆◆◆◆◆ しばらくすると、アユちゃんは私たちの元に戻ってきた。 ケンさんから許可が出た、ヒカルは猛ダッシュでアユちゃんが乗る車へと向かった。 ヒカルを引き留める役に任命されていた人達は、任務から解放された途端、その場にしゃがみ込んだ。 彼らの顔には、疲労の色が色濃く滲んでいた。 そんな男の子達に 「お疲れさん」 蓮さんは労いの言葉を掛ける。 地面に座り込んでいた男の子達は蓮さんの存在に気付いた瞬間―― 物凄い勢いで立ち上がった。 ピンと伸びている背筋が緊張感を物語っている。 『い……いえ、そんな』 男の子達は返答に困っているようだった。 そんな男の子達を見て私が感じるのは罪悪感。 「……あの……」 恐る恐る口を開いた私に一斉に視線が集まる。 「ご迷惑をお掛けしました」 私は男達に向って深々と頭を下げた。 『美桜さん!?』 『や……止めてください!!』 『俺達は別に……』 『迷惑だなんて思ってないですから』 こんなに疲れているのに……。 楽しかったイベントを台無しにしたのは私なのに……。 それなのにこの人達はこんなにやさしい言葉を掛けてくれる。 その事実に、私は目頭が熱くなった。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1996人が本棚に入れています
本棚に追加